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わたしの朝は早い。
寅の刻に目が覚め、毎日の日課を行う。
神棚にある水と塩を新しいものに変え、本日も平和な一日があることを願う。
そして、私の最も反吐が出る”あれら”を侵入させないために結界を張り、塵一つ残さないように掃き掃除も徹底し、本日も気持ちの良い朝を迎える。
それらを終えれば、楽しい楽しい朝餉の時間。
いつもこの時間帯になれば、”彼”がやってくる。
「ぴーちゃん!今日のご飯はなーに?」
「・・・陽色。まずは風呂に入れ。邪気がそこら中に舞っている」
「ごめんね。さっきまで仕事だったんだ~」
彼は血しぶきが飛び散った袴を脱ぎ捨て、一目散に去って行った。
本当に嵐のようだ。
というか、うっすらと彼の背後になにか邪気のあるものが見えたのは気のせい?
彼は今のように時折、着物や何やらに血痕を付けてくることがある。その理由を深く聞いたことはない。世間様からは悪人と呼ばれるような所業をしていたとしても、わたしには関係ない。無責任かもしれないが、わたしにとって彼はただの”猫”であり、大切な友だちなのだ。
それ以外でもそれ以上でもない。
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