1cat: 私の友だち

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「ねぇ、ご飯は逃げないからさ、まずは髪を乾かそうよ」 目の前では烏の行水で風呂を終え、褌一丁で用意した朝ご飯をかきこむ男。 彼が通った道には水溜まりができていた。 どうやったら、そんなびしょぬれで上がってこられるのやら。 わたしは食事を一時中断し、彼の背後に回る。 「ぴーちゃん、お母さんみたいだね~」 「いや、こんな世話のかかる子どもはごめんなんだけど」 なぜこんな雑な扱いなのに、髪は嫌味なほどに絹のように上質な髪触りなのだろう。 しかも、齢20を過ぎたのにこの甘え性。 そして、お腹が空いたらふらりとこうして現れる。 まるで、猫のようだ。 これが私の彼に対しての認識。 「あ、ひーちゃん。これって何の効果がある石なの?」 「それは”あくあまりん”といって癒しを与えてくれる石だよ」 「癒し?」 「この前、此処を訪問してきた参拝者の一人が身も心も衰えていたから、それを持って行って元気になってほしいなって思ってさ」 「へぇ。それ俺も行ってもいい?俺、今日非番で暇なんだよね」 「別にいいけど、まずはこれに着替えなさい!さっきの袴は干してるからね」 「はーい」
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