第1話 僕の生い立ち

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 そもそも、僕がどうやってパパとママに出逢ったのか。それについて軽く紹介しよう。  僕は大家族で育った。物心ついた時から、兄ちゃんも姉ちゃんも、弟も妹も沢山いた。正直、誰が誰だか分からなくなるくらいだった。だけど、幸せだった。お家は狭かったけれど、皆で雑魚寝も悪くないし。それにとっても賑やかで楽しかったんだ。時に喧嘩もするけれども、喧嘩する度に仲良くなって行くというか、お互いを分かり合っていくというか、そんな感じで。  そんな僕の夢は、一人暮らしをする事だ。早く自由になりたい、というのもあるが、父さんと母さんを安心させてやりたい、という想いの方が強いかな。早く就職して、独り立ちしたいんだ。  だけど現実はなかなかに厳しい。所謂少子高齢化というヤツさ。就職先、つまり採用する奴らは「寄りどり緑」て感じで。最近では特に、子供が少ない分粒よりが揃ってきているせいか、ルックスが良い奴が有利みたいだ。そういう奴は性別関係なく、すぐに就職先が決まって行く。即決も多いらしい。  僕だってルックスや頭も悪い方じゃないけど、こればっかりはご縁と互いの相性もあるからなぁ。  そんな訳で、二回ほど面接を体験してみたが、最初の方は僕が馴染めそうに無くて断り、二回目はどうもお互いに相性が良く無かったらしい。同時に断わられて断った、そんな感じだ。  そして2018年3月初め。漸く就職先が決まった! 家具つき、必要な道具は全て備えられている部屋に一人暮らしも決まった。これも就職先が用意してくれるらしい。破格の待遇に家族全員、取り分け両親は喜んでくれた。早速一週間後に引っ越し開始だ。この引っ越しの全ても、就職先で世話してくれるらしい。当日迎えにも来てくれて、僕は本当にこの身一つで行くだけなんだ。何やら、面接官が大変に僕を気にいってくれたらしい。有り難い事だ。
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