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エピソード② ◯=出席
俺は、1枚の往復ハガキと、一緒にポスティングされていた他の郵便物も、まとめて一緒に某ブランドバックに入れて、8Fの自分の自宅に専用エレベーターで上がり、帰宅した。
3LDKの俺一人では、広すぎる間取りの買いマンションの一室。
25畳のリビングの黒革のソファーに座り、某ブランドバックから郵便物を取り出し、仕分けした。
不要なチラシやDMは、即ゴミ箱行き。
そして、残ったのは、唯一、1枚の往復ハガキだけだった。その往復ハガキを、黒い木製のモダンなローテーブルに置き、俺は、年代物のフランス産の赤ワインとフランス産のチーズを準備し、往復ハガキの詳しい内容を確かめた。
その往復ハガキは、高3のクラスの初の同窓会の案内&出席の有無の往復ハガキだった…
「高校卒業以来、5年ぶりか…。初の3-B、クラス同窓会かぁ…。会場は、O市内のAホテルか…。日時は、4月X日(日)19時から…。受付は、18:30からか…。会費は8000円。懐かしいな。
みんな参加するのかな?
浅田は来るかな?
再会…。楽しみだな。
この『5年間』に渡る『片想い』の気持ちを告白するかな…あはは。 出来るわけないか。俺…そんな勇気ないし…。浅田は、クラスのマドンナ、俺には『高嶺の花』さ…。」
次の日の朝、往復ハガキを半分に切り取り、出席に『◯』を付け、愛車のイタリアンレッドのアルファロメオ・ジュリアを運転し、六本木ヒルズの俺の会社のオフィスに出勤した。途中、最寄りの郵便ポストに、出席のハガキを投函した。
出社後、自分の会社の事務員の女の子に、有給休暇届を記入し、提出。俺が自分の有給休暇届に『社長印』を押し、受理された。4月X日の次の日、1日(月曜日)を有給休暇にした。
帰省を兼ねて、クラスの同窓会に参加する事にした。
実家には、ここ3年ばかり帰省していない。
また、会社の起業時期と重なり、20歳の地元での成人式にも、帰省していなかった…。
同窓会参加のハガキを投函してから、同窓会が楽しみで仕方なく、仕事にも一段と邁進でき、直ぐに4月を迎えた…。
その理由は、クラスのマドンナにして、俺には『高嶺の花』の、浅田に再会出来るからかも知れなかった…。
エピソード③
へ続く。
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