第1章

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2  案内されたオフィスの中は、やはり少し普通の会社とは異なる気がした。 最初に通されたエレベーターのある外廊下からすぐにあったミーティングルームは、熱帯雨林の壁だった。  トロピカルな木々や果物、派手な色彩の鳥たちが四方の壁を彩っていて、もしも本物の鳥の声などをBGMにされたら少し錯覚するのではと思うほどだった。  さらにオフィスの中を郷谷のあとを歩いていくと、今度は広めのフロアに通された。木のドアにはアセットマネージメントと書かれている。どうやらここが郷谷がまとめる部署であり、響子の配属先なのだろう。 「こちらが、櫻井さんのとりあえずのデスクになります。必要な端末などは一応そろえたつもりですが、足りないものがあればその都度でいいので教えてください。オフィス家具は好きに選んでいただいて結構ですので、カタログから選んでください。あ、今メンバーを紹介しますね」 「ありがとうございます」 丁寧な郷谷の言葉に、自然と頭が下がった。  比べても仕方がないが、前にいた会社とは扱われ方が違う。それは、デスクの上に置かれた真新しい端末をみてもわかった。  タブレットにスマホまで用意されていたから、なんとなく余裕のある企業なのだと理解した。  前にいた会社とは、まるで違う。
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