第1章

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世の中には、影と光がある。通常はこれらは相反しているものである。 と思うのだが、扉の向こうから現れたのはその両方だった。 「だからさぁ、ラインをゲットしたのって僕のおかげでしょ、なにを今更」 「後頭部から風穴を開けてやろうか、ふざけるなこのコミュ障が」 くせ毛っぽいウェーブの長めの髪に甘いハンサム顔、白い肌は純日本人を疑う顔立ちの男が春らしい明るいグレーのスーツに身を包んで明るい声を発した後に現れたのが、真夜中のような真っ黒のスーツに身を包んだ陰気な男だった。 後者の方が物騒すぎる発言をしており、ただでさえ目つきの悪い背後に影をめらめらと揺らめかせている気がする。 二人ともタイプの違う美形なのだが、あまりに違いすぎて響子は言葉を失っていた。 というか、こんなテレビやスクリーンでみるような美形は見たことがない。
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