12人が本棚に入れています
本棚に追加
「北條、殿下……あのね、君たち」
「お前らさあ! 空気を読むって知らないのかよ! バカでしょ、バカ確実だよね! いやもう疑問形も要らないよねバカだから! 新人にオリエンテーションしてんだよ、わかんねえんかよ、スケジュールみてんだろうが、職務怠慢でクビにすっぞクソが!」
郷谷がやわらかく苦言をていそうとしたところに、真っ直ぐすぎる深澄のよく通る声が空間を切り裂いた。
隠と陽、二人の男は深澄の勢いに動きを止めた。
「新人?」
「オリエンテーション?」
二人揃っって疑問系が口から出てくるあたり、スケジュールなどあまりチェックしていないのは明らかだった。
ある意味で対局すぎる派手な二人の視線が、深澄を見てから郷谷、尾久ときて櫻井響子に止まった。
「あ、新顔」
「……暗い顔だな」
余計なお世話であるセリフを真に受けて、響子は少々だが苛立ちを感じた。
あくまでも、少しだが。
最初のコメントを投稿しよう!