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「はい、簡単だけれどね、以上がうちのメンバー紹介になります。他の部署も紹介したいところなのですが、この二人が持ち帰った案件が早速に動かさなきゃいけないのでね。申し訳ないけれども最初は深澄について仕事を覚えながら、ミーティングに参加してください」
「わかりました」
On the Job Training, つまりはOJTである。
仕事をしながら覚えてください、というもので響子自身もすでに経験していた。最も前の職場でのそれは、地獄への入り口となってしまったのだけれど。
響子の返事を受けて、郷谷は丸テーブルにつくように皆に手振りで示した。それぞれの椅子をひき、各自が座っていく中で殿下だけはソファを陣取っている。
「北條、案件とクライアントについて教えてください」
促された北條が手にしていたアイパッドを操作しながら、頷いた。
「クライアントは、全国的にチェーン展開するバイキング式のレストラン“春日和(はるびより)”に勤務する二十代の男性です」
二十代の、男性?
この規模の会社がプロジェクトチームを組む、クライアント(顧客)が?
響子の頭には疑問符が浮かんだ。
レストラン春日和なら知っている。あの大企業がクライアントならば理解できた。
しかし、北條はたしかに今、クライアントは男性だと、言った。
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