第1章

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なんどめかの、二十連勤だった。 めちゃくちゃな納期に合わせるために無理を重ねて、それで体が悲鳴をあげた。 ミスも多かったから、余計に仕事は増えた。がんばったと思う。がんばってきた、でも成果は出せていない。 それでも経過は関係ない、結果が全てだと言われればそれまでで、周りの先輩や同僚も皆が無理に無理を重ねていた。最初は無理だと思ったそれが、気がつけば当たり前の日常になっていた。 『慣れれば、こんなもんだよ』 加賀屋先輩もそんな事を言うから、きっとそうなんだろう。 きっと、不慣れな自分だから、不出来な自分だから、こんなにも結果を出せないんだろう。 そして結果も出せないのに、体がつらくて頭もつらくて、ここから逃げ出したくなるんだろう。 いつになったら、先輩たちのように当たり前のことが当たり前にこなせるようになるんだろうか。 それとも、不出来な自分にはそんな日はこないのだろうか。 一生このまま、迷惑をかけ続けるんだろうか。誰かのお荷物になりながら何一つまともに出来なくて、自分もつらくて苦しくて。 こんなの、生きている価値なんてないんじゃないのか。 味のしない食事を体を動かすためのエネルギーとして摂取して、消化して排泄して、気がつかないうちに水を汚して資源を無駄にして、誰の期待にも答えることができない。
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