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「お願いッ! 今すぐ戻って来てッ!」
突然、姉弟子から、ニューヨーク州の……、じゃなくて、入浴中の私に、連絡が入った。
「そう言われましても、私は破門になった身。母……、いえ、師匠が許さないと思います」
「師匠以外で、センターを張れるのは、あなたしかいないのッ!」
母は、民謡教室を主宰し、今度、大きなイベントで、母をセンターとした『おても坂46《フォーティーシックス》』と言う、46人の壮大なユニットで、『おてもやん』を披露することになっていた。
ところが、イベント直前、母が便秘で不機嫌にッ! おまけに、イベント当日が、新型i-phoneの発売日だと気づき、新しもん好きな母は、イベントほったらかしで、「列に並ぶ!」と、離脱……。私に、白羽の矢が立てられたのだった。
しかし、母と私は、母娘の確執から、冷戦状態だった。
「母娘の確執なんて何よッ! そんなちっぽけなもの、クソ食らえだわッ!」
「しかし……」
「しかしもヘッタクレもないんやで、しかしッ! 戻って来なかったら、怒るでしかし~ッ! イベント後、あなたの好きなもの、ごちそうするからッ!」
「戻ります!」
即答だった!
当日、私はみんなに支えられ、何とか、『おても坂46』のセンターという、重責を果たすことができた。
娘の活躍に、師匠である母の肛門括約筋も活躍し、便秘も解消! 新型i-phoneもゲットし、上機嫌ッ! 『おても坂46』の活躍を労い、
「あなたたちの食べたいもの、ごちそうするわ!」
姉弟子たちは、私に、その選択権を委ねてくれた。私は、Queenの『ボヘミアン・ラプソディ』のメロディに合わせ、
「♪ママ~、子羊肉食べたいよ~♪」
と、歌って見せた。すると、姉弟子の一人が、「最近、美味しいラムソテー屋さんが、駅前に出来ちょります!」と、タイムリーヒット! 私たちは、ウンもスンもなく、駅前へ直行した!
美味しいラムソテーを食べながら、みんなで談笑していると、いつの間にやら、私たち母娘の確執も解けていた……。
「で、どういう確執だったの?」
「家で食事中に電話が鳴って、私が応対してたら、その間に、私が楽しみにしていた最後の一口のラムソテー、母が食べちゃったのよ!」
「あの一口、美味ちかったわよ~ッ! ごっつぉたま~ッ!」
姉弟子たちは、呆れ顔な羊顔で、
「美味メ~~~~~~ッ!」
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