不本意な立ち位置

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(あ、また面倒に巻き込まれたな。これ)  悲しい事に、慣れてきた自分が嫌だ。  幸いな事にまだ【爆弾】は無い。とはいえ、時間の問題に過ぎないだろうなぁと思いながら、取り敢えず会長の横に座る。  改めて、副会長は四角い黒縁メガネにピッチリと整えられた黒の七三分けで、詰襟までした窮屈で堅苦しそうな人間であるという印象をうける。  その表情には、薄かったが口元に余裕の笑みをたたえていた。  その後ろの取り巻きも、副会長と同じ髪型、服装……まではいいんだが、同じ伊達メガネまで掛けてるのは流石にキモいと思う。 「で、何で呼び出されたの俺?」  至極真っ当な疑問だったのだが、相手側の気配が変わった。具体的には殺意がチート無しでも解る。 「……以前、生徒会が行おうとしていた企画を覚えているか?」  覚えている。俺が彼等に嫌われる原因となった【全校生徒合同強化勉強合宿】の事だろう。  夏休みの大半を使って全学年の偏差値を上げようと副会長が行おうとしていた企画で、俺がヒロ子とレズ実を始めとした公の攻略対象(ヒロイン)を焚き付けて潰した企画である。  ……まあ、使った人脈は公関連だけじゃないんだけどな。
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