不本意な立ち位置

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「……あのさ」  俺もばつが悪く、会長に向かって謝ろうとして、 「ありがとう、黄泉山くん」  先んじて、礼を言われた。  その表情には微笑みを称えており、俺を責めるような意図はなかった。 「……何で一言目が礼なんだよ? 役立たずな上に場をひっかき回しただけだぞ?」 「結果的にはでしょう? 私が邪魔したから」  そういって呆れたという表情を浮かべる。 「意図的に相手を怒らせて【爆弾】を作り、爆発させて自分に危害を加えさせる。そういう目論みだったんでしょう?」  ーーわー、バレテーラ。  そう、実は会長は俺のチートを知る数少ない人物の1人なのだ。  もっとも、全てを話したわけではなく能力について話しただけだが。 「目に見える形で不祥事を起こせば、リコールの対象に出来る。そうすれば、彼主導の計画を潰す事ができる」  みてください、これが本物の優等生さんです。能力もないのに、よくもまあそこまで看破出来るものだ。
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