不本意な立ち位置

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「まあ、確かに学力が低下気味だが、合宿を行って底上げする必要があるほどでもない。  むしろ国が定めた休日に無理矢理予定を入れる方が個人のプライベートを侵害しているーーと、解釈出来なくもない」  そういって、市長は俺が集めさせた全校生徒の署名と、副会長が会長に示した資料を眺めた。 「ーーまあ、今回は急な話で緊急の措置だったとしておくが、実際は間に合わなかったのか?」 「今回は本当にギリッギリ過ぎた。そのせいで会長には悪いことさせたと思ってる」  これは本当だ。署名を集めて出してから開催まで間に合わないと判ったから、市長に頼るのと平行してサボり作戦を実行した。  会長には出来るだけアホみたいな理由で休んでもらえば、後に続く生徒のハードルが下がる。だから出来るだけ変な理由を作ってもらったのだ。
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