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第2話
しかし20年も経ってしまうと、時の流れとは恐ろしいもので、流石にどう見繕っても似ているとは言えなくなってしまいました。
その頃男は髪の毛が薄くなってきたこともあって、全体的にかなり短髪にしていました。当然、本家である三浦友和の髪の毛はふさふさのままです。
男が短髪にすると、三十代にコンタクトを諦めてかけ始めた四角い眼鏡が合わなくなっていました。そこで少しふっくらとした顔に合わせて、丸縁眼鏡に変えることにしました。
その男はかなり面倒くさがり屋で、4・5日間髭剃りをサボって無精髭を生やすことがよくあります。するとある人から「なんかジャン・レノに似ているんじゃないの?」と言われました。
言わずと知れたフランスの個性派名俳優です。(国籍は違うのかもしれませんが……)
「じゃないの?」というのは「そうかも知れないが、そうでないかも知れない」という裏のニュアンスも含まれます。しかし言われた当人は、そこまでの裏読みはできませんでした。
勿論、男が天高く舞い上がってしまったことは言うまでもありません。
豚もおだてりゃ木に登る。あまりにも高く登ってしまった為に、降りることができなくなってしまいました。
それから約20年、男はずっと「俺はジャン・レノに似ている」と称してきました。
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