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握り飯を屋根裏部屋に運んだ途端、始まる握り飯争奪戦。
マジックみたいに目の前で突然握り飯が消えることは絶対にない。
なのに何を焦って殺到するのか。
ところがコルトという女エルフが、俺の手伝いをするって言い始めた。
何をやらかすのやら、と思ってた。
俺が部屋から出ている間に何かしたんだろうな。
そんな争いごとがなくなって、部屋の雰囲気も穏やかになったんだから驚きだ。
それに目障りなガラクタが、何やら役に立つ道具へと生まれ変わったんだとか。
いや、魔法でガラクタを変化させたとかじゃないらしい。
その様子を俺は見ていないし、どんな物になったかも知らない。
ただ、それを目にした冒険者らが持ってったらしい。
武器や防具の代わりにできる物って話だった。
コルトとやらのおかげだってことは分かる。
そのコルトが今、俺の目が届く範囲でそのガラクタに何やら細工を始めてる。
けど俺は彼女からその話を聞くことは出来なかった。
いくら握り飯から目を離しても問題ないと言っても、ショーケースの前から離れるわけにはいかなかったから。
どれに何の具が入っているかと言う説明がほしいんだと。
握り飯の中身を聞いてくる冒険者達の相手をしながら、時々コルトの方を見る。
ゲームに登場していそうな武器や防具っぽいのは見えた。
ここに来る冒険者達のほとんどは、その直前までそれぞれの迷宮などで悪戦苦闘していた者達だ。
たとえ即席だったとしても新しい装備品があれば、少しでも光明は見えるものなんだろうな。
コルトは今、何やら魔物の皮でグローブみたいなのを作り、握り拳の先や爪の先に、魔物の牙っぽい物をつけている。
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