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「いや、いいんですよ、コルト様。これくらいなら朝飯前です」
そりゃお前はまだ握り飯手にしてないから、文字通り朝飯前だろうけどさ。
って誰が上手い事を言えと!
「さ、様って……面と向かって呼ぶのはちょっと……」
流石にそれは恥ずかしいだろ?
俺の今までの恥ずかしさを思い知るがいいっ!
で、間もなくしてコルトはこっちにトレイの交換のために戻ってきたのだが。
「あの子、何か特別なことでもあったのか? お前の様子がちょっと変に見えたから」
「え、あ、うん。あの子ね……私が見える扉が開いて入ってきたから」
同じ世界の者が来る時は、やって来る者がその扉を開けて入って来るのだそうだ。
違う世界の者達が部屋に来る時はその扉は開かず、突然扉から姿を現すという。
それは、扉が見える見えないの違いはあるが、俺には壁から突然現れるように見える。それと同じ現象のようだ。
ということは、だ。
「うん。私と同じ世界からここに来たってことよね。わたしもずっとここにいるけど、扉が開いて誰かが入って来たのは……」
「お前を助けてくれた戦士の男だけ、じゃなかったか?」
「うん、そう……」
コルトはそのセントールの女の子を心配そうに見る。
コルトの見た目はそんな風な顔なんだが。
でも俺には、自分の身に不安を感じているような顔にも見えた。
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