未熟な冒険者のコルト

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 この指示はいままでなかったことでした。  今までは、みんなに守られてきた立場の私でした。  それがようやく、戦力になる一人として認められたということです。  不安な思いはありましたが、一人前と見られたことはそれ以上にうれしくて、力になりました。  罠師の人と二人でゆっくりと進みます。  時々二人で、あるいはどちらか一人の判断で、私は後ろに下がり全員の安全を確認しつつ、また前衛に移動します。  手ごわいスライムも現れましたが適時私はポジションを変え、そのことでみんなが効率よくスライム達を倒していきました。  けど私に称賛はありません。  当然です。  今までのような、私の育成を目的の中心とした活動じゃなくなりましたから。  ですが、今まで以上チームの消耗は少なく、経験したことがないくらいダンジョンの奥深くまで進入できました。  みんなの力になっているんだ、という実感が湧き、うれしくも気が引き締まる思いでした。 「コルト、この先枝分かれしてるよな? その先に何か感じることはあるか?」  もう、ちゃん付けで呼ばれなくなりました。  完全に戦力の一つとして認められた瞬間だと思いました。
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