未熟な冒険者のコルト

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「いいえ、しばらくは今までと同じ。自分が察知できる範囲の中では、大したことのないスライムが……五体もいないのではないかと思います」 「うん、外れだ。今までよりも強めなスライムが左の道の先にいる。ここでコルトちゃん一人で右の道に進んでもらう」  一瞬思考が止まりました。  たった一人で……確かに攻撃系のアイテムも所持品の中にたくさんあって、全部使ったらオーバーキル間違いなし。  けれどもダンジョン内では初めての単独行動です。  もっとも今まで誰かが単独行動を起こしていたのは見たことはありましたから、いずれは私も同じことをしなければならないとは思ってましたが。 「この二つの道のその先は見えるか?」 「えっと……合流、してるのかな?」 「そ。ここで枝分かれしてる。ということは、一緒に行動すると挟み撃ちになって俺達は全滅する可能性がある。戦力を半分にすると、そのつえぇスライムに当たった側が全滅するかもしれん」 「私がこっちに進んで足止めをしてる間、そのスライムをみんなが倒す、ということですね?」 「そういうこと。あぁ、コルトはそっちに現われたスライムは、別に倒してもらって構わんぞ?」 「そこまで自惚れてないです。皆さんこそ、そっちのスライムを倒したらこっちに助けに来てもらって構わないんですからね?」 「……言うようになったじゃねぇか。頼りにしてるぜ? コルト」  リーダーからの言葉が別行動のスタートとなりました。  二つの道は枝分かれしてましたが、進むにつれて平行な道のりになってることを魔力で感知しました。  進んでいく途中で、通路が何度か枝分かれしてましたが、その場所から片方は袋小路であることは分かりました。  計画通り、さらに奥に進みます。  ですがその先に待ち構えていたのは、通路を塞いでいるくらい大きくて、見ただけで強さが分かるスライムでした。 「え……えぇっ?! こっちに……いるのっ……?!」
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