465人が本棚に入れています
本棚に追加
/233ページ
スライム、と一言でその種族のことを言い表せます。
けど強さが違う。その中での種類もたくさんある。
能力の違いもあります。
戦闘に入ると、私なんかではひとたまりもありません。
みんなが合流してくれたら、ようやく何とかできるんじゃないかと思える強さ。
一目見て、そう感知しました。
みんなとは、直線距離ならそんなに遠く離れてはいません。
けど、どんな魔術でもどんなアイテムでも、壊せそうにない分厚い岩壁が立ちはだかってます。
距離的にも時間的にも、私が襲われたらまず間に合わないことは流石に分かります。
でも、スライムとの距離はまだ遠かったです。
だから、みんながこっちに駆けつけてくれると思ってました。
ですが、動く気配はありませんでした。
みんなの方には、近くにいるスライムみたいな存在の気配はありません。
けど、何やら神秘的な力の存在は察知できました。
天使か何かが降臨したんだろうか?
それなら身動きがとれないのは分かります。
でも、そんな存在が近くにいたら、どんな魔物でもすぐに浄化されるはず。
なのにそこでうごめいています。
私は少しでも早くみんなと合流するために、静かに後退することにしました。
向こうでは、私よりも早く移動しているようでした。
その神秘的な力も一緒に動いているようでしたから、逆戻りしてから私と合流するつもりなんだろうと思ってました。
でも、岩肌のダンジョンは私を静かに移動することを許してくれませんでした。
石を踏みにじる音、歩くたびに背負ったバッグが出す音。
目のないスライムは、その鋭い感覚器官で近くに獲物がいると察知したんでしょう。
最初のうちは揺らめくような動きでしたが、それは獲物に向かって移動するカモフラージュだったようです。
私が知らないうちに、私との距離を縮めていました。
思いもしなかったスライムの行動で、私は焦りました。
でもなるべく冷静さを失わないように心がけてました。
それはこの時に限ったことではありません。
常日頃の心がけが幸いしました。
最初のコメントを投稿しよう!