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上から押し潰すように、その巨体が私の上から落ちてきました。
心許ないながらも、それでも唯一の私の味方は、バッグの中のアイテムしかありません。
そのバッグもその衝撃で、スライムの体の中で離ればなれになってしまいました。
体を襲う圧力と、溶かされそうになっていく際の、体中に感じる痛み。
そして息苦しさ。
頼りになるのは、装備の内側に収納している私の持ち物、回復系のアイテムだけでした。
けれどもこの状況では、何の力にもなってくれません。
私は死を覚悟しました。
ですが、遠く離れたバッグがなぜか発光して爆発が起こりました。
スライムの体内にいた私には、その衝撃は伝わりませんでした。
それでもスライムにはダメージがあったようで、来た道を引き返すように戻ろうとしていました。
スライムから解放された私は、その衝撃の強さを改めて知りました。
入り口に向かう方向の天井から岩盤が落下して、入り口に向かう通路は完全に遮断されてしまいました。
穴をあける術はありません。
前には強いスライム。後ろは岩盤。
今の私に必要と思われる回復の薬草や呪符はすべて使いました。
それでも回復できた体力は微々たるもの。
私はうつぶせになったまま身動き一つできませんでした。
ふと見ると、壁に穴が開き、その奥に何やら広めのスペースが見えました。
絶望に打ちひしがれても、生きたいという本能が勝ったんでしょう。
這いつくばりながらそのスペースに入り込みました。
スライムの姿はそこからは死角になって見えません。
奥の方を見ると、光が全くないのに、随分と重厚そうな扉がありました。
そこに逃げ込めば何とかなる。
そのまま這って扉の元に辿り着き、しがみつきながら立ち上がって扉を開けました。
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