未熟な冒険者のコルト

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 天然なのか、俺に取り入ろうとしているのか、それとも恩を返したいと思っているのか。  どのみち目の前に出されたアイテムは今の説明通り、俺には何の意味もない。  何かをせずにはいられないって気持ちは分からなくはないし、そんな気持ちはうれしいし有り難いんだけどな。 「じゃあ私、ここにしばらくお世話になります! 出来ることがあるなら何でもいいつけてくださいねっ! 私、エルフ族のコルトって言います! 一応魔術師してます!」  いや、ちょっと待て。  だから、いてもいい、いたらだめって俺が押し付けることじゃないんだってば。  話聞いてたか?  俺は誰かの世話をするつもりはないし、 「あの、お兄さんのお名前は何というんですか?」  いや、人に話をさせろよ。  つか、何から話していいか分からねぇよ。 「ハタナカ・コウジって言うらしい」  おいこら、わきから口を挟むな。 「そう言えばコウジって名前があちこちから聞こえてきましたね。よろしくお願いしますねっ」  はぁ……。  もう勝手にしてくれ。
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