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山姥と御札と題名
あたりが暗くなり、小僧が寺に帰ろうとしたときおばあさんに会った。おばあさんは小僧に「栗を焼いてやるでに家さこい」と言ってくれた。小僧は誘われるまま家にお邪魔して焼いてもらった栗を腹いっぱい食ってそのまま寝てしまった。
深夜に小僧は包丁を研ぎ奇妙な音を聞いて目を覚ました。音がするほうを見てみると山姥が包丁を研いでいた。慌てて逃げようとした小僧だったが、山姥に見つかった。
「小僧!逃がさんぞ!」
そう言って小僧に近寄る。小僧はこのままではまずいと思い、体をくねらせ大声で言った
「ションベンがしたいだ~させてけろ!」
とあまりに小僧がうるさいもんだから山姥は小僧の体に縄を巻き付けて逃げないようにし、厠へと行かせた。
厠に着いた小僧は縄を外し、お札を取り出そうとした。しかし、どこかで落としたのが札が二枚しかない。これじゃ二枚のお札に名ちゃうじゃないか!名前が変わってしまう。「三枚のお札?」にすればいいか!いやまてまて、今はそれどころじゃない。小僧は一枚の札を自分の身代わりにして一目散に駆けだした。
少ししてお札だと気が付いた山姥は小僧を追って駆けだした。はやいはやい。みるみる差が縮まっていく。これはまずいと思った小僧はお札を使った。
「山姥に逆ハーレムを作ってけろ!」
小僧がそう願うと、美少年たちがどこからか現れた。そして山姥のほうへ向かう。
「お嬢さん!こんな暗い道で何してるの?」「僕らと一緒に遊ぼうよ!」
しかし、山姥は見向きもしない。美少年たちを置き去りにしてしまう。
「興味ないわい」
山姥は小さくそうつぶやいた。
小僧が走っているとお札が落ちているのを見つけた。栗拾いの途中で落としたものを見つけたのだ。これで題名も変えずに済む。小僧はこう願った。
「お師匠様の離れの近くに飛ばしてけろ」
そう願うとあら不思議、もう和尚の離れの近くまで!しかし、山姥も一緒である。
「役に立たないお札だ」
小僧がそうぼやくのも無理はない。
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