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鍵のかかる部屋
思ったより狭い。
紗希は書斎に入って思った。広さとしては五畳ほどだ。窓に向かって縦に細長い長方形の部屋で、居間の隣にひっそりと忍ばせるように存在していた。
大勢入れるほどの広さはない。左側の壁は天井から床まで一面本棚になっており、結構な量の本が詰め込まれていた。
他に家具は窓辺にある小さな書斎机と本棚と対照的に置かれたクラッシックな脚付きの長椅子のみ。ただ、それだけでも二人以上入ると圧迫感を覚えるだろう。
窓の向こうは庭が見える。庭の中央で缶チューハイに完全に飲まれた勇斗が、花火を両手に持ち、まだ危うい足取りで回っていた。紗希の口から苦笑いがもれる。
かわいそうに。晶は鈍感なのか。なぜ勇斗も誘ったのだろう。
紗希は思った。たしかに自分達六人は学校外でも遊びに行ったりする間柄だから、みんな一緒の方が恵美里も参加しやすいと晶が考えたのも無理はない。
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