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「あぅっ!」
髪を強く引くと、女の顔は否応なく上に向けられた。タキコは血と吐瀉物にまみれた女の汚れた顔をそばにあった枕で力任せに拭った。
そうして女の白い頬が現れると、タキコはそれを右手の三本の爪で力いっぱい引っ掻いた。爪痕が三本くっきりと浮かび上がり、血がにじむ。
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁ――っ」
女はようやく恐怖の叫びをあげた。しかし、それはまだ始まりにすぎない。タキコの口元は緩み、低い笑い声がもれた。
まだだ、夜は長い。
自分が苦しんだ年数に比べれば、この女にはこんなことでは物足りない。
まず逃げられないように、タキコは女の細く華奢な足首に斧を振り下ろした。
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