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機械人形は愛で繋がれるか
結局のところ誰より終わりに囚われているのは人類なのだと私は結論付けた。
見晴らしの良いと言うよりも、見渡す限り地平線しかない荒涼とした平原の真ん中で、それを伝える言葉を探る。
「博士、どうして人類はシステムに愛を求めたのでしょう」
プログラムを打ち込んでいた博士の人差し指が、質問の意図を求めて宙でツイツイと合図した。
「人間同士が繋がるシステムは、利害や損得だけでよかったはずだと思うのです。売ったり買ったり、交換したり貸し借りを作ったり」
他の生き延びた動物達の繋がりは大変シンプルだ。食って食われての暮らしの中で、たまに与えることがあっても奪いもした。群れを作りながらも、敵に狙われれば仲間を囮に逃げ出すことだって。自分のための繋がり。そのシステムに愛なんて不要だった。
同意も反意も示さない博士は、黙々と画面に向き合っている。
「終わりまで共にすることを選ぶのは、生存本能と矛盾します」
博士は「言いたいことは分かったよ」とキーボードを叩く手を止めて、素体とPCをケーブルで繋いだ。完成したプログラムを転送するのだ。
「君の言うとおり、人間同士は愛で繋がりたがる。最期のときは尚更だったね」
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