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「私達のしているこれは、一体何なのだろうね」
分かりません、と答えようとして、首元で甲高く三度鳴ったビープ音に遮られた。
「そろそろ充電が切れるね。今日はもうおやすみ。また明日もよろしく」
まぶたを閉じて、体内の機能が一つひとつオフになっていくのを感じる。人間の終わりも同じ感覚なのかもしれない。指先にも足先にも信号は送られなくなり熱を失っていく。体温が下がり眠気がやって来て視覚と聴覚が鈍る。頭の中の靄はどんどん濃くなり意識を覆い隠していく。
金属とシリコンの下でオイルと電気が循環する体を持つ私が、博士の質問の意図を、求められている答えを、手にできる日がいつか来るだろうか。それさえも私には分からない。ただ今は、旅立って行ったロボットが誰かと繋がってくれるのを願うのみだ。
いよいよ完全にシャットダウンすることを告げる長いビープ音が鳴った。
意識を手放す直前に見えたのは、顔も知らない少女がロボットを抱き抱えてメッセージカードを筒から取り出している場面だった。彼女は小さな紙片を大事に指先でつまんで、書かれた文字を読み上げる。
「Send our LOVE to you.」
そうです。あなたに愛をお届けします。
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Twitter企画:誰かが引用rtで続きを書いてくれる
お題:「結局のところ誰より終わりに囚われているのは」
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