1.「覚醒」

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『ミー? 我? 自分? …オレ様??』 「wwwwwwwwwwwww」 ひとが悩んでいるというのに、なぜ彼は笑い転げているのだろうか。 …そんな事より、一人称が決まらないのでは話が進めにくい。早々に決めねば… やはり“ワタクシ”辺りが近い気がするのだが… 『ワタクシ…共?』 否、これは違う。 『ワタ…私? 私! …私は、何故こちらに?』 「www、へ?w あぁ、アナタね。」 彼は、未だに乱れの残る呼吸をコホンと正し、 「アナタ。ここに来てから、かれこれ…3時間ほど寝てらしたんですよ。 随分とお疲れのようでしたので、とりあえずそのまま…」 なんと、3時間も…! どれほど警戒心の無い奴だと思われただろう… 『それはそれは、申し訳ありません。』 「で、先程アナタが覚醒されまして。しばらくの間、観察を。」 『観、察…?』 「えぇ、アナタの目が開いてから、首を動かし、顔をしかめ、『よっこらせ』なんてオジン臭いかけ声と共に起き上がり、目をしばたたかせている… と錯覚している間、ずっと観察させて頂いてました。」 『はあ… なるほど…』 何を言っているのか、半分も理解できなかった。 『3時間も寝ていたんですか…』 「…ぇ、えぇ、ですから“おそようございます”と…」 『なるほど。』 面白い言い回しだな。機会があれば使ってみよう。
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