1.「覚醒」

4/27
前へ
/34ページ
次へ
「…えっと、他に質問は?」 『え? あぁ、まぁ、特には…。 何故自分がこのような状況に置かれているのか、くらいで…』 「出ましたね!!」 何が? 「知りたいですよね!? 何故アナタがここに居るのか!」 『…知りたいかと問われれば知りたいと答えますが…、 貴方がその答えをご存知か私は存じ上げませんので、ご存知ない事を聞いてしまうのは申し訳ないと思いまして。』 「…えと、はい?」 『はい。』 むしろ、彼が何を知っているのか全く分からないから、質問のしようがない。 「…ぇっ、え…  …あぁ、ダメだこのヒト、オレより変人だ…」 何やら心外な事を呟かれたが。 「先輩! 先ぱーい!! オレこのヒトだめっスわー! オレの負けで良いっスよー!」 いきなりヤケクソのように叫びだした、白い人。 何やら斜め上あたりに向かって「ねえ先ぱーい!? 見てますよねー!!」などと360度方向に叫び掛けているが… 端から見れば、ただのアブナイ人だ。 「ハハ。珍しいなぁ、お前が負けを認めるなんて。初めてじゃないか?」 …なんか白い人増えた。…いつからそこに居たんだ?  まるでプロジェクターか何かで投影されたように、一瞬で“その場にいた”白い人(その2)。先輩と呼ばれていたということは、この2人は上司と部下の関係だろうか。 “先輩”も同じくズルズルのシーツスタイルだが、黒い短髪だ。 不可思議な“先輩”に、愚痴をこぼしだす“後輩”。 「だってこのヒト、ツッコミ入れてくれないんスもん! “錯覚”にすら!」 「そうだな、このパターンはレアもんだなー。」 「最初は面白い反応してくれてたんスけど…」 「おぅ知ってる。見てたからな。」 「何か、オレのペースが乱されてきて…」 「ヒトのペース乱すのがキミのお仕事なのにな。」 何の話やらさっぱりだが、先輩も負けず劣らずな変人らしいという事だけは、なんとなく察した。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加