1.「覚醒」

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「嘘っスよ、天国じゃないっス。」 『は?』 何なんだ、まったく… 「まぁまぁ、あながち嘘って訳でも無いだろ?」 『何なんだ、どっちなんですか!』 「そう焦らずに。簡単に言ってしまえばここは、天国道の脇道、と言ったところでしょうかね。」 『てんごくどう…??』 点の極道? え? 「よくあるでしょ? “一面の花畑が…”とか、“清く澄んだ湖畔が…”とか。それが天国道っス。」 「天国道の大元は一本道ですが、アナタのようにごく稀なケースの方の為に、脇道が設置されているのです。」 『…はあ、なるほど…?』 なるほどわからん。 『で、何で俺が天国みたいなトコに来てるんですか?』 「あれ、分かりませんか?」 『分からないから聞いてるんですけど。』 「変だな…まだ何か足りないのか…? あぁ、自覚か!」 『あ?』 自覚が足りないってどういう意味だオイ。 凄まれてビビるくらいなら、最初から口に気をつけたまえ後輩くん。 「スイマセンね、悪い意味じゃないんですよ。 …アナタ、お名前は?」 『俺は、…。 …? 俺は…?  ……誰ですか?』 「その反応、正解です。」 …正解って何だ、意味が分からん。 「アナタは今、前世と後世の境目に居ると思ってください。」 『…名前はどこいった?』 「前世の記憶はリセットされるものなので、今は分からなくて良いのです。」 『…え、前世って何ですか』 「おー、やっとキーワードに引っ掛かるようになった」 何なんだコイツらは。さっきからワケのわからない事ばかり… 「つまり、アナタは先程、お亡くなりになられました。」 オナクナリに…? 無く… 亡く? …亡くなった!?
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