【第1話】

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【第1話】

「えーっと、次はじゃがいもね」 スマホを片手に、汐里はスーパーの中をうろうろしている。 買い物かごの中は人参、もやし、ピーマンなどの野菜や豚肉が所狭しとひしめいている。 日曜日、朝から汐里は家の用事優先で動いていた。 主婦ではないのに、まるで主婦のような生活。 青春真っ只中の女子高生のはずが、汐里にとっては少し違った。 「さて、あとはお菓子を買ったら帰ろ~っと。クッキー♪クッキー♪」 チョコチップにするかアーモンドにするか迷った挙句、汐里はにこにこ顔でアーモンドの方を棚からカゴへと移し替えた。 会計を済ませ、汐里はピンクの花柄のエコバッグに移し替えられた野菜やお菓子を、嬉しそうに持ちながらスーパーを出ようとした。 「樹くんからメッセージ来てないかなぁ~?」 先ほどから何度も何度もスマホを見ているにも関わらず、気になって仕方ないという様子で汐里はスマホをカバンから取り出しては確認した。 しかし、特に変わった様子はなさそうだ。 むーっと唇を前に付き出しながら、再びカバンにスマホを戻したとき、目の前に見覚えのある姿が目に入った。
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