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【第2話】
「ふわ~ぁ、眠いなぁ」
さやかは靴箱の前で大きなあくびをしている。
昨日も遅くまで占いの本を読みふけっていたのだ。
気が付いたら夜中の三時。
睡眠時間が確保できたのは三時間。眠いはずである。
左手でカバンを持ちながら自分の靴箱に靴を仕舞おうとした時。
「きゃっ!」
さやかは走ってきた誰かにぶつかられ、ふらふら回転しながら倒れそうになった。
すると、どこからかさっと手が伸びてきて彼女の身体を受け止めた。
「大丈夫?」
自分の目の前に顔がある。伊織だ。
背中に腕が回され、ぐっとしっかり彼女の身体を下から支えている。
上から覗き込んでいる彼の顔を見ながら最初はぽかーんとしていたさやかだったが、ハッと我に返って伊織から飛び退いた。
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