振り向くと……

1/1
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ

振り向くと……

 今日は珍しく母や父、先生が一緒に行くことになった。毎回大人一人が同伴していくのが恒例だったので誰かにしか共感してくれないが今回は火星が接近してくるとの事で火星特集を小さなフロアで行っているらしい。  お土産屋さんも近くにあるので星の砂をコンプリートするために連れてきた理由も半分くらいある。ガチャガチャで星の砂がそれぞれ当たるのだが十種類のうち七種類まで当てたがそこまでだ。それ以降は見たことのある色なので先生や担当の看護師さんにあげる事でダブりは防いでいる。  プラネタリウムを見終わってイベントフロアに行って少しウロウロしていると心臓が止まりそうだった。  髪型、整っている横顔、スタイルなど小夜子にとても似ていた。呼吸が乱れて車椅子を運転する力が弱まっていてなかなか進めない。携帯で母に気分が悪くて火星の面積について貼り出している紙の所付近で休んでいると簡易で伝えた。二、三分後には呼吸が安静になってきてゆっくりと周囲が見えるようになってきた。先生たちが僕の所に合流してきたのはその更に二、三分後だった。  すぐに医務室に施設の医務室に運ばれると体の異常はなく早めに帰れたのでお土産屋さんに寄って星の砂をコンプリートしてきたのだった。そんな元気な姿を見ていると先程まで呼吸困難だったのが嘘の様に見えたとの事だ。  僕はその日以来睡眠障害に陥ってしまった。睡眠時深い眠りと浅い眠りを繰り返しているのが普通だが夜は浅い眠りに陥り、昼は常に眠い状態なのだ。そんな状態でベッドにいるとついつい寝てしまっていつの間にかお日様が沈んでいたなんて茶飯事だ。 ちゃんとしたリズムに戻しつつあるが一度目覚めると僕はまた寝たくなくなってしまう。何故なら夢を最近見るからだ。その夢は大体小夜子の指や腕の事件だったり彼女がいきなり病室に来たりするのだ。多分この前彼女の様な人を見つけたため混乱しているのだろうが心配ない。  そう落ち着けていたがその事が現実になるのがそう遠くない未来だった事に気付かされる。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!