突撃インタビュー

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突撃インタビュー

 翌日目覚めるといつもとは違った感じだった。体調や睡眠も今日はいいし、お腹も十分空いているためあの時は分からなかった。このあととんでもない事件に巻き込まれるなんて。  僕は前から気になっていた本の新作が出るから自分で書店を訪れて買いに行こうと思った。リハビリをなるべく早く終わらせると先生は僕を最近イチオシの店に連れて行ってくれた。こじんまりとした居心地のいい場所だと教わっていたためとても楽しみだ。  自動扉をくぐってしばらく会話をしていると踏切で足止めを食らった。雑談をしていると後ろから声をかけられた。 「秋春くん……どうしたのその怪我!」  振り返るとそこには見たくもなかった顔の小夜子がいた。呼吸が浅くなってくるのが分かるがトラウマを克服するために言葉を絞り出した。 「久しぶり刑務所ではどうだった?僕は自殺を失敗してこんな怪我を負ったんだよ。用がないなら関わらないで。」  彼女はニコニコ笑ってうざかったと言い放つ。さり気なく横に立って永遠つまらない理由を聞くかと思ったら先生に声をかけていた。 「すいませんいきなり知らない人が話しかけちゃって。私秋春くんの幼馴染で小夜子って言います。突然ですが秋春くんから離れてください。」  まただ。彼女は刑務所に入ってもその性格は変わらない。僕に触れられるのは自分一人でそれ以外が触れるととてつもない嫌気が襲ってくるので他人を遠ざけるのだ。  先生は静かに笑って否定した。この子の主治医だって事、病気のため離れると危ないこと、小夜子みたいな無知な子が近くにいても意味がないことを丁寧に説明していたが彼女は聞いておらず怒りだした。 「邪魔しないで!私達は運命で繋がっていて将来素敵な家庭を築くのよ!!」  その言葉を全て聞き取る前に先生は刺された。
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