暖かい心、冷たい肉体

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暖かい心、冷たい肉体

 背中に暖かいものがかかった。僕はまた他の人を犠牲にしているのか。携帯で救急車を呼ぶと先生にお別れの言葉を言った。 「先生今までこんなに面倒な人に出会った事がないと嘆いていたのは本当ですね。僕のせいでまた人が傷ついてしまった。彼女の武器は僕や車椅子と一緒に車で轢かれて来ます。先生はまだまだ生きれますが僕はとうに生きる意味を失いました。星の砂を全て集め、小説を投稿して小説家みたいな気分を味わい、皆から愛されて育っている事がよくわかりました。なので恩返しとして電車ではなく車で轢かれますので運転手さんは悪くないって伝えてください。絶対に生きてください。」  早口にそれを伝えると彼女に向き合って武器を奪った。持ったら手から血が溢れてきたがそんなもの関係ない。手のひらを見ると小型のカッターナイフがあったため刃を折って本体を壊した。  踏切があがると車が通って来るが車体が踏切から退いたのを狙ってそこに飛び込んだ。  彼……秋春は帰らぬ人となり、先生はギリギリ生きていた。星の砂が窓辺でキラキラ輝いている昼下がりの事だった。
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