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「俺は遠くの遠くの森から来た『コンテ』という者だ。
白ギツネに逢いに来たと思ったら、まさか風船売りをしてたとはね?
で、本題だけど・・・この風船全部くれ!!」
狡猾ギツネのコンテは、屋台の下にいっぱい転がっていた割れた風船を見るとニヤリとほくそ笑んだ。
「きみ、風船を膨らますのがヘタとみた。で、俺が風船を・・・」
「あーーっ!!これは売り物です!」
狡猾ギツネのコンテは、まだ膨らませてない萎んだ風船をいきなり息を吹き込もうとした。
ぷ・・・ぷぷぷぷ・・・!!
「ぜぇ・・・ぜぇ・・・」
「何だよこいつ。風船を口で膨らます事出来ないぉ!!頬っぺたが孕みすぎて、顔が凄い形相だよー!!まじうけるーーー!!」
「うるせぇ!!」
狡猾ギツネのコンテは、肩で息をしながらブチギレた。
「だからその私達の商売道具返してよ!!」
「やだ!!俺が口付けて涎ベロベロなのに?
俺の涎付けたんだから、俺のものだ!!」
ぷちん!!
「ぎゃん!!」
狡猾ギツネのコンテは前肢の爪で割れた風船を1個拾って引っ張ると、激昂する白妖ギツネの右コンの額にブチ当てた。
「いってぇ!!何するんだよ!!ひとの商売道具を!!」
「商売道具商売道具って・・・プッ!!こんなに台無しにして、何が『商売道具』なんだよ?!」
狡猾ギツネのコンテは、割れた風船をビラビラと悔しがる右コンの目の前で見せ付けて、ほくそ笑んだ。
「風船ちゃん、コンな2匹に台無しになるより、おいらと居た方が幸せじゃね?」
・・・何こいつ・・・?
右コンが怪訝な目で見詰める中、狡猾ギツネのコンテは萎んだ風船に話しかけると息を深く吸い込み、
ぷ・・・ぷぷぷぷ!!
・・・また、こいつ風船孕まずに頬っぺただけが膨らんでる・・・ぷぷっ・・・!!
右コンが含笑いをすると、狡猾ギツネのコンテの顔が真っ赤になり頬が更に孕んだと思うと、
ぷーーーーーーーーっ!!
と、一気に大きく膨らませてしまった。
「ぜぇ・・・ぜぇ・・・ やったぜ!!」
狡猾ギツネのコンテは、肩で息をして興奮で鼻の穴をパンパンにして、ほくそ笑んだ。
「あっ!!おめぇ!!この風船はヘリウムガスを入れる為に仕入れたんだ!!
おめぇに分ける風船は・・・」
「は?」ぽーん!!
「おい!おめえ!風船で頭を叩くなよ。」
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