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「ばーーーーか!!よ~くこの風船を見ろ。風船はここまでが限度なんだよ!!ネックが若干ぷっくり来てるのがな。風船の事を知らんで、風船使うなばーーーーか!!
ん?風船ちゃん。おいらに空気入れてもらって嬉しいの?ふーん。」
狡猾ギツネのコンテは、前肢の爪でパンパンに膨らませた風船の吹き口を結わえて紐で尻尾に結びつけた。
「はーい!この風船に嫌われちゃったねー!!君達!!
え?皆?ここの紙袋に入っている風船達、おいらに連れてって欲しいって?
こいつらとつき合ったなら、命が足りないからやだって?よーし!!
風船に優しいおいらが連れてってあげるよ!!」
と、狡猾ギツネが売り物の萎んだ風船の入った紙袋を丸ごと全部担いで強奪してそそくさと走り去った。
「あっ!!何をする!!これが無いと!!」
右コンが叫んだ時には、逃げていった狡猾ギツネのコンテは向こうの薮の中へ消えていった。
「ごるぁーーーーー!!待ちやがれ!!この泥棒めーー!!」
激昂した右コンは、狡猾ギツネのコンテを追いかけた。
「うわっ!!」
ドタッ!!
右コンが慌てて躓いたとたん、柱にぶつかったとたん柱に結んだヘリウム風船の紐が解けて、空へふうわりと舞い上がって飛んでいってしまった。
「せっかく苦労してヘリウムで膨らませた風船が!!」
左コンは、必死にジャンプしても飛んでいったヘリウム風船は雲間に吸い込まれて視界から小さく見えなくなってしまった。
「散々だわ~~~!!」
左コンは、大声で泣きじゃくった。
ざわざわざわざわざわざわ・・・
「キツネだ。」
「こんなとこにキツネが2匹も居るよ。」
「白いキツネ可愛い!!」
「ギクッ!!」
右コンは、肝心な事に気づいた。
「左コン!!泣くな!!周り見ろ!!既にわしら、人間に化けるのが解けてキツネの姿に戻ってるぞ?!
人間達にバレバレだぞ?!」
「いいもんいいもん!!」
「左コン!!よくねぇよ!!ひとまず隠れろ!!」
右コンは、下に落ちている割れた風船をかき集めて抱え込んで草葉の陰へ逃げた。
「右コンさん!待って!!」
左コンも、目を涙でくしゃくしゃにして右コンに付いていった。
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