ここは苦界か極楽か

3/27
前へ
/467ページ
次へ
色んな国の人間が目の前を遠すぎていく。 時には立ち止まり視線を向けるもの、目的の場所があるのか、見向きもせずに通りすぎていくもの、それを眺める。 大通りに面した夢現宮の、見世の奥。 一番真ん中に陣取って、茶筅は気だる気に肘置きに肘をついて、足を崩して座っている。 周りは着飾った春姫達が、入れ替わり立ち替わり出ては戻りを繰り返す。 それを横目で見ながら、茶筅は小さく息を吐き出した。 客に見えるようにはめられた格子は、まるで牢屋のようだ。 その中で、自分達は愛想を振り撒き、色をひけらかす。
/467ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加