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色んな国の人間が目の前を遠すぎていく。
時には立ち止まり視線を向けるもの、目的の場所があるのか、見向きもせずに通りすぎていくもの、それを眺める。
大通りに面した夢現宮の、見世の奥。
一番真ん中に陣取って、茶筅は気だる気に肘置きに肘をついて、足を崩して座っている。
周りは着飾った春姫達が、入れ替わり立ち替わり出ては戻りを繰り返す。
それを横目で見ながら、茶筅は小さく息を吐き出した。
客に見えるようにはめられた格子は、まるで牢屋のようだ。
その中で、自分達は愛想を振り撒き、色をひけらかす。
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