再会と別れ

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「そういや、会社の人すごいイケメン揃いだって言ってたもんなー」 そのうちの、一人……ってことだよな。 「よく、浮気しなかったね」 「いや、だって……」 「ぞっこんだった? 俺に? 」 「いや、相手にされてなかった……」 ……こいつ…… だけど、こんなところも好きだった。自然体で。 「おい、そこは……“そうだよ”って言ってもよくない? 」 「あー、ごめん」 そこ、謝られる方が傷つくわ。 「いや、会社ね、あの人レベルが数人。その他もなかなかのイケメン揃いで。あ、もちろん女性もすんごい」 ……マジか。俺……初めて見たってくらいのイケメンだったぞ。 「え? マジで! あのレベルの女の人いんの? 」 「食い付きますね~」 「うん、まあ、見たいだけ」 「私もそうだよ。見たい……だけだった」 『だった』? 「うん……それが……触りたくなっちゃった? 」 「……へ? 」 現実じゃなかったのが、手が届いちゃったって……ことか……。でも、お似合いだよ、案外。佳子だって可愛い。 「さて……俺仕事残してるし……そろそろ行くわ」 「あ、うん。ありがとう」 その時、ノックの音が聞こえた。そして……そのイケメンが部屋に入ってきた。 うわ、やっぱめちゃめちゃ綺麗な顔だな。彼は俺と佳子を交互に見た。 「あ、もう帰りますので……どうぞ」 俺の言葉に反応もせず……顔面蒼白。怖いくらいに綺麗だ。 ……まるで……人形みたいだな。 「洗濯物、本当にいいの? 」 少しくらい……落ち込みの、お裾分け。わざと、親密な関係を匂わす為に言った。 「いい、いい、ごめんね。ありがとう」 佳子がそう言うと 「了解。じゃあ……明日は……こない。……かな」 明日も……明後日も……もう……こない。 来ることは……ない。 じゃあね、佳子。この男の前では言ってやんないけど。 未だに動かない男に一礼すると部屋を出た。
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