アニバーサリー

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「龍ヶ崎、様……」 久しぶりの突然の長く濃厚なキスに、俺は呆然とした。 「もう、全ての女とは切れている。その証拠が、3ヵ月前にお前へとしたキスだ」 端整な顔立ちの男は、真剣な表情で話し出す。 「だから、今日ここから俺とのコト……改めて考えてくれないか?」 「龍ヶ崎様……」 そして、もう一度1輪の薔薇を俺の目の前へと差し出す。 「今はまだ、俺のことを好きじゃなくていい。少しずつ、俺との時間を過ごしていく中で好きになってくれればいい。だから……」 真摯な熱い思いに、不覚にも心を打たれてしまい目の前の薔薇を恐る恐る受け取ってしまう。 「颯斗……!」 その瞬間、これ以上無い嬉しそうな様子で俺は激しく抱き締められる。 「今日から2月14日は、颯斗だけの記念日じゃない。俺たち2人が、関係をスタートするアニバーサリーだ」 「……まだ、『好き』とか『付き合う』とか言ってないですけど。それに、あなたが俺と再会した時、2回共、女……絡んでるんですよね……?」 あまりの龍ヶ崎の強引で一方的すぎる提案に、わざと俺は冷めた態度で応える。 「だけど……」
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