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「……女性トラブルでちょっと……」
俺は気まずそうに口籠もりながら苦笑し、なんとかその場を誤魔化そうとする。
しかし、颯斗は誤魔化されなかったようで、鋭い眼光で俺を睨んでいた。
「……俺、もう帰ります。お花、ありがとうございました」
妙に刺々しい言い方で捲し立てると、大袈裟に頭を下げ、薔薇も受け取らずにその場から自転車で立ち去ろうとする。
「おい!待てって!!」
強引に颯斗の肩を掴み、俺の方へと振り向かせる。
次の瞬間、そのまま颯斗の薄い唇を俺は激しく奪っていた。
「ん……!」
コンマ0.何秒の突然の出来事に、颯斗はこれ以上無いくらい大きく瞳を見開いていた。
俺がこんなコトをしたいのはお前だけだ!
濃厚で溶けるような熱いキスに、今まで我慢していた颯斗への激しい愛を、これ以上なく全て詰め込んだのだった。
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