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「そうです。頭蓋骨をくり抜いて脳みそを取り出して食べます。殺人事件の遺体と同じになります」
『脳みそ損壊の遺体を前に、その目的が分からなかったが、まさか食べるために人を殺して脳みそを取り出したとは信じられない!』
沖野口はその衝撃を一旦心の中で消化しようと黙想した。
燎は続けた。
「伊比村では大昔から猿の脳みそを食べ、人間の脳みそを食べてきました。そのことにより、恐ろしいウィルスに村人たちは感染してしまったようです。ウィルスは人の脳を食い荒らし、宿主の人間を最終的に殺してしまいます。それが杉内鷹也の死因です。私はそれにIBウィルスと名付けました」
「そんなに恐ろしいウィルスが日本にもあったなんて…」
「このことが公になると、日本中が大変なことになるでしょう」
燎は日本中がパニックに陥る危険を示唆した。
「ああ、分かりますよ。感染を恐れ、人の脳を食い散らす人間への恐怖と怒りで、日本中の敵意が伊比村へ向かうでしょう」
「そうです。そうなる前にIBウィルスの封じ込めと、伊比村の犯罪の摘発と撲滅。これらは極秘裏に、しかし速やかに行うべきです」
「そう簡単に言いますが…」
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