猿を食す

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 沖野口の言葉に燎は、「エッ?」と驚いた。 「どうやって女性のタイツをいきなり脱がせられますか? 無理やりは捕まる。自ら脱ぐように仕向けるには、口説かなければならない。誤解されてしまうし、それに殺人犯とそんな関係になりたくないですよ。お金を払うから脱いで足を見せてと言う訳にもいかない。しかもタイツだけなんて…。完全に怪しまれる」  変態扱いされるか、目的を感づかれるか。  どっちも嫌だ。 「もし捕まらず、誤解されず、簡単に女性のタイツを脱がせる方法が見つかったら、これは世紀の大発見であり、世界中の男が歓喜するでしょうね」 「女性のタイツを脱がすことが、そんなに凄いことなんですか?」  篠原は笑った。 「タイツを簡単に脱がせられるということは、他の着衣も簡単に脱がせられると言うことです」 「そりゃあ、世紀の大発見だ!」  その例えでようやく篠原にも分かった。  沖野口は呟いた。 「警察だって、『ちょっとそこでタイツ脱いで足を見せて』なんて、容疑者でもない、もしかしたら赤の他人かもしれない状況ではとても言えないですね」  沖野口は公権力を使えないものかと考えている。 「タイツを脱がす方法…」 「うーむ…」
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