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「ぶー、不正解」
ゴロさんはさらに楽しそうに、もうほとんど見えなくなった目を細めた。
また落ち始めた大きめの雪をひとひら、鼻先に受け止めて、笑う。
それから、僕に近づくように言ってから、
「ここにはね」
まるで秘密基地のありかを教えるように、むこう隣の小学生のけんくんのように無邪気に、
「たからもの」
そう耳打ちした。
「だから、この雪が全部解けたら」
俺の代わりに、見つけて。
それだけ言って僕の答えを待たずに、ゴロさんは自分の家の奥へと入っていった。
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