クモ

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 その下からは鋭い突起が付いた鉄板と思わしき物。それが幾枚も魚鱗(ぎょりん)のように肩口まで、規則正しく等間隔で貼り合わされていた。 「我が武具は攻防一体の手甲鮫肌(てっこうさめはだ)。この腕で()でつければ、如何様(いかよう)な物でも崩れよう……刃でも肉でもな」  長い腕に見合う細長い指。それは満仲(みつなか)が持つ刀を指し示す。 「武具なんて仰々(ぎょうぎょう)しい言い方しやがって、腕に"おろし金"を着けてるだけだろうが!」  挑発しながらも、刃毀(はこぼ)れし使えなくなった刀を投げつけ、新たな刀を背負った刀束から抜き出す。  満仲が投げつけた刀は(むち)の如く振るわれた長腕により、あっけもなく粉々に砕け散る。 「その(おご)りが身を滅ぼす……この動き、貴様に見切れるか! 」  独特の破裂音を鳴らして迫りくる腕。  ――刹那の間隙(かんげき)()うように満仲は身体を捩らせながら避け続ける。――時折に刀で弾くように防御する。 「先程までの勢いは何処(どこ)へやら……避けるのは一流――だが、避けるだけ……防戦一方とは情けなし」  手長はくつくつと笑いながら、さらに腕を振るう速さを一段また上げる。     
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