クモ

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クモ

   満仲(みつなか)の手により、投擲(とうてき)された短刀――黒衣へ届かず。火花を僅かに飛ばし落ちる短刀。 短刀を叩き落とした下手人は、黒衣の四人の内の一人。 「我らの棟梁に傷を負わそうとは笑止なり」  枯れ枝のように細い腕……しかし、地に手が付きそうなほどに異常に長い。――柳のように腕を(しな)らせ構える、手長の者。 「ほう、やるじゃないか……ならば! 」  満仲(みつなか)は駆け迫り、勢いそのままに渾身の力を込め、手長へと刀を振るう――しかし、その刃も長い腕に防がれ、火花(・・)が散る。 「お前、腕に何か仕込んでるな……鉄の籠手(こて)か!」  満仲(みつなか)は手長に対して、刀を防がれた感触と野性的な勘で危機を感じたのか、仕切り直す為に後方に飛び退く。  満仲(みつなか)は手に持つ刀を見れば、刃毀(はこぼ)れをし……(あまつさ)(ひび)まで入っていた。 「当たらずとも遠からず、我が武具(ぶぐ)をお見せしよう」  手長の者は両腕の(そで)を引きちぎる。     
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