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四角かった氷が丸くなってきた。
もう5人ぐらい出ていった。完全に誰も喋らなくなった部屋は氷が溶ける音さえも聞こえそうだ。
じゅわじゅわじゅわじゅわ…。
さっきアニメの話をしたダチも出て行った。
もうこの部屋には俺しかいない。俺は孤独だ。
もう一度自分に言い聞かせる。
この氷が溶けるまであの女を待ってやろう。
俺はあの女がもうすぐ来てくれると信じてる。
ポタ。
目から出たあったかい水滴が氷に落ちた。
あ、やべえ。氷が小さくなっちまう。俺は慌てて涙をゴシゴシ拭うと氷を睨む。
カチッカチッカチッカチッ…。
時計の音が部屋に響く。
じゅわじゅわじゅわじゅわ…。
氷が溶ける音が耳に響く……。
だんだん目の前に霧がかかってきた。
俺はまだ待てる、俺はっ……。
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