日常

2/2
前へ
/4ページ
次へ
夕暮れ時、私はいつものように窓の外を眺める。 綺麗な夕日が地平線の彼方へ沈んでいく。 疲れた様子で歩くサラリーマンや 傘でチャンバラをしている男の子たち、 スーパーの袋をカゴにつめて自転車を漕ぐ主婦、 こんな風景を見ると一日の終わりを感じる。 ―――ガタンゴトンガタンゴトン 彼が帰ってくる音だ、と嬉しくなった。 私は今日も空を眺めながら彼を待つ。 空の模様はとどまることなく変わり続ける。 毎日空を見上げるが、1度として同じ空を見たことがない。とても大きな空。 日が沈みおわり真っ暗になる頃、ガチャガチャとドアが開く音がした。 「ただいま~」 愛しい人の声だ! 急いで玄関に行き、彼に飛びつく。 彼は困ったように笑いながら、 ちょっと待ってくれよと頭を撫でてくれる。 彼は疲れた様子でスーツを脱ぎ、部屋着に着替えた後に私を呼んで膝に乗せてくれた。 彼はテレビをつける。 頭を撫でるペースが遅くなり、ついには止まってしまった。 振り向くと、無防備な姿で寝ている彼が見受けられる。 私は呆れながらも、いつものように彼を起こし バスルームへ誘う。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加