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変化
朝 目覚まし時計がなると、私は彼のお腹にダイブして彼を起こす。
低い声でウッと唸り、少し目を開けた彼は愛おしそうにこちらを見ると、私を抱き寄せた。
私は朝のこの時間が好きだ。幸福感に包まれたような、なんともフワフワした気持ちになる。
遅刻するよ~と必死に訴えながら、彼の腕から逃れようともがく。
数分その交戦は続き、やっとのことで彼は起き上がり用意をはじめた。
彼は準備が終わると、
「行ってくるね」と私の頭をぽんぽんとする。
私は寂しくなって、玄関まで見送る。
彼は私の頭をわしゃわしゃと撫でながら
今日もいつもと同じくらいに帰るね、と言い
仕事に向かった。
彼が居なくなった部屋で、私はいつものように窓の外を見ながら過ごす。
早歩きする人達が行き交う交差点、
慌てた様子で小走りするサラリーマン、
少女たちは顔を見合わせて笑っている。
せわしなく過ぎていく風景。
地上とは対照的に雲はのんびりと空を散歩している。
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