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予想通りの表情が面白くて、とうとう我慢しきれず頬がにやけてしまう。
可愛らしい人間の女の子にチョコをもらうより、変な女神にチョコを奪われた方がいいなんて、我ながらどうかしている。
「女神様と話すのは結構楽しかったんで、来年も来てくださいよ、俺のとこ」
「……ッ」
女神は顔を林檎のように赤く染めて、一瞬の間ののち偉そうに胸を張った。
「わ、わたしが人間に姿を見せるのは、『当たり』を引いたときだけなんだからねっ」
「絶対引きます」
「……そこまで言うなら、本当に絶対引きなさいよ! 嘘ついたらチョコレート没収なんだから!」
言い逃げのように叫ぶと、女神は現れたときのように謎の煙とともに消えてしまった。
俺はもう我慢しなくてよくなった笑いを開放し、ひとしきり一人で笑い転げた。
「くく……チョコ没収って。『当たり』引くこと前提かよ」
ああ、腹筋が死ぬほど痛い。
次に『当たり』を引くときまでに、腹筋とポーカーフェイスをもっと鍛えておかねば。
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