チョコの女神

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チョコの女神

 今日は二月十四日、独り身の男にはクリスマスと並んで一年で最も希望と絶望を運んでくる日だ。  そんな日に俺が何をしていたかというと、お得用のチョコをスーパーで買ってきた。  俺は自分の甘味を食べたいという欲求を満たすために買っただけで、別にそれがチョコだろうが飴だろうがどっちでもよくて、それ以上でもそれ以下でもない。ドゥーユーアンダースタン?  無意味な言い訳を打ち消すように、個包装になっているチョコを一つ乱暴に手に取ると、『当たり』と書いてあった。 「……駄菓子かアイスじゃあるまいし。まあ、開けてみるか」  袋を開けてみると、中身は他と変わらないようだった。  チョコの表面や袋の裏側に何か書いていないかも念のために調べたが、何もなかった。  なんとなく軽い失望を覚えつつ、俺はそのままチョコを一口食べた。  すると、持っていたチョコが謎の煙を出して手の中から消え、代わりに綺麗なミルクチョコ色の髪をした女が現れた。 「わたしはチョコレートの女神。あなたが食べたのは、この金のチョコレート? それともこの銀のチョコレートかしら?」     
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